ワクチンには副反応がある。当たり前だけど。結構忘れがち。
半世紀近く犬と関わりながら生きてくると、狂犬病集団接種会場でアナフィラキシーショックで硬直・痙攣をしててびっくりしたという話を聞いたり、昔に飼っていた犬が混合ワクチン接種から約3時間後に足に軽い痙攣が出た為、緊急で動物病院に行って「ステロイド+抗ヒスタミン」注射を打ってもらった。
狂犬病ワクチンは法律で決まっているので、本心ではハラハラしながら毎年打たせている。
混合ワクチンは副反応のリスクを極力下げるために、極力少ない数の5種混合ワクチンを三年に1回のペースで打つことをマイルールにしていた。
そんなオレが、最近10種or11種混合ワクチンを毎年接種にマイルールを変更しようと考えを改めた理由と経緯を解説したい。
1.混合ワクチンには副反応のリスクは必ずある
副反応は稀に発生するが、発生しないわけではないのが現実。軽度から重度まで症状は様々だが、命に関わる可能性のある副反応が起きる可能性が全ての犬にあるんだ。
狂犬病予防注射や混合ワクチンを打った後は、30分間は動物病院で待機、もしくは動物病院の近くで愛犬の様子を見て欲しい。何故なら、命の危険レベルの緊急度マックスのアナフィラキシー症状がでるならワクチン接種後30分以内で出始めるから。
あと、これはオレの経験からなんだけど、狂犬病注射や混合ワクチンは午前中に摂取することをお勧めする。もし副反応が出たとしても明るい時間なら対応してくれる動物病院を探しやすいから。あと、副反応が出た時に即座に動物病院に連れて行けるように、飼主が1日愛犬の様子を見ていられる日に接種して欲しい。
以下で副反応を軽度別に分けて説明。様子がおかしいなと思ったら迷わずに動物病院に愛犬を連れて行って欲しい。
① 軽度(よくある反応)
- 注射部位の腫れ・しこり
- 一時的な元気消失、食欲不振
- 軽い発熱
- 軽い下痢や嘔吐
💡 発生時期:接種後数時間〜1日以内に出て、2〜3日で回復することが多い。
② 中等度(要受診)
- 顔の腫れ(特にまぶたや口まわり)
- 蕁麻疹、皮膚の赤み・かゆみ
- 明らかな呼吸が荒い、咳
💡 発生時期:接種後30分〜数時間で出やすい。アレルギー反応の一種。
③ 重度(緊急)
アナフィラキシーショック
- 呼吸困難、舌や歯茎が白や紫色になる
- 急な虚脱・倒れる
- 意識がなくなる、痙攣
- 高熱(40℃以上)
- 大規模な浮腫
💡 発生時期:接種後数分〜30分以内が多く、最悪の場合は数時間以内に死亡の危険。
特に注意するべき犬
- 小型犬(体重が軽く薬剤量の影響を受けやすい)
- 以前にワクチンで副反応が出たことがある
- 高齢犬・持病持ち(心臓病、腎臓病など)
- 免疫異常の既往がある
副反応が出た場合は、獣医師と相談して混合ワクチンの中止や、狂犬病注射の猶予制度(獣医師が接種を避けた方がよいと判断した場合、その年の接種を免除できる制度)を利用することも検討してほしい。
2.混合ワクチンが5種から11種まである理由
オレが子供の頃は愛犬家の中では3種混合ワクチンが主流だった。
ただ、40年前くらいだと犬に対しての予防医学の認識が低く狂犬病注射だけしている人たちがほとんどで混合ワクチンを打たせている人はほとんどいなかった。実際に、フィラリア予防薬を飲ませている人もほとんどいなかったと記憶している。そんな時代だったから犬の寿命は大体10年越さないくらいが普通の感覚だった。
そんな時代から、現在を比べると犬に対するワクチンやフィラリア予防に対する意識は爆上がりしたなと思う。
この混合ワクチンはコアワクチンとノンコアワクチン、(何故か今でも普通に混合ワクチンの中に紛れ込んでいる)非推奨混合ワクチンに分けられるんだ。簡単に説明をすると、
- コアワクチン 絶対に打ってね
- ノンコアワクチン 地域や環境によっては病原菌がいなかったり感染リスクがなかったりするから、必要なら打っといてね
- 非推奨ワクチン 打たない方がいいよ
という事になる。
ここからもうちょっと中身を説明すると、
- 5種混合ワクチンはコアワクチン3種+2種の最小構成。ワクチンの効果は3〜5年は継続する。
- ノンコアワクチンは・レプトスピラ感染症に対するワクチン。細菌の型が非常に多い。日本で感染しやすい型のうち、2〜4型のワクチンで予防することができる。パラインフルエンザワクチンもノンコアワクチン。パラインフルエンザワクチンはドッグランやペットホテル、トリミングに行くなら打っておいた方がいい。
- 非推奨ワクチンは犬コロナウイルスワクチン。成犬では重症化しにくく、自然免疫も獲得しやすいのが理由。
ワクチンを打つ上で飼主が考えないといけない事が2つある。1つ目が、ノンコアワクチン=レプトスピラワクチンを打つのか?2つ目に、打つのなら何型(2or4 組み合わせは選べない)を打つのか?
レプトスピラ菌は血清型が多く、型の組み合わせはメーカーで異なる。人や犬が集まる場所、例えば高速道路のSAやPA、キャンプ場に行く可能性があるのなら4型全て接種することをおすすめする。
ノンコアワクチンを打つか打たないかは飼主が判断するしかない。
自分と愛犬の行動範囲にワクチンで防げる病気があるならば、ワクチンで防ぐべきであると思う。ただ、このレプトスピラワクチンは型の多さから、ワクチンで防げるのかどうかもあやしい病気。厄介なのが、犬が重症化すると助からないことが多いという点。これらを加味して、オレがレプトスピラワクチンを愛犬に打つと決めた考え方を示しておく。
感染リスクが副反応リスクを上回ったと思った時がワクチン接種のタイミング
オレが、どうして感染リスクが副反応リスクを上回ったと思ったのか解説していく。
3.ネズミのおしっこから感染するレプトスピラ感染症
一般的に言われているのが温暖な関西以南のエリアで発症報告が多く、特に水を媒介して感染することが多いので、池、川、山などに犬を連れていくことが多いならレプとスピラワクチンは必須と言われている。
ネズミが保菌しているらしく、ネズミがいる地域なら感染するリスクはあるというのがこのレプトスピラ菌。オレはレプトスピラ感染症について調べている時に「ネズミなんて日本全国にいるやないかい!」と1人ツッコミをしてしまった。
このレプトスピラ菌は10℃以上なら活動できるから、10℃以上あるエリアでネズミがいるエリアなら感染のリスクがある。ただし、発生件数は多くはない。でも、感染して重症化するとかなりの確率で助からないという危険な感染症なんだ。
レプトスピラワクチンを打つことを推奨される人は
アウトドア(キャンプ場)に犬を連れていく人 > 川、池が散歩コースにある人 > 10℃以上の時に犬と外出する人
左に行けば行くほどリスクが上がるのでレプトスピラワクチンを打った方がいいという事になる。
オレの普段の散歩コースの公園に大きな池があるんだ。しかも、普通にネズミもいる。今は眼球破裂の治療療養中なので家でじっとしているが、健康な時は山へ川へ愛犬を連れてキャンプにいっていた。つまり、レプトスピラ感染症のリスクの脅威の中、愛犬を連れ回していた事になる。
今まで感染しなくて良かったと心の底から思い反省した。
4.レプトスピラワクチンの予防期間は一年未満と思っておいた方がいい 打つ時期が大事!
どこの動物病院でもレプトスピラワクチンの予防期間は1年間と説明をしている。これについては、「嘘ではない・・・」という程度に受け止めるのが正解だと思う。
何故かというと、海外ではレプトスピラワクチンの予防期間は6ヶ月から1年とされていて、高リスクのエリアなら6ヶ月から12ヶ月事のワクチン接種が理想とされているからなんだ。つまり、ワクチン接種6ヶ月以後から徐々にワクチンの予防力が低下していくと考えるの妥当という事なんだ。
オレは接種回数を増やすということは、副反応が起きる可能性が上がるということなので、できる限り減らしたい考え。
なので多くて年1回で最大の効果をあげられるように、逆をいうと、打ったのにも関わらず効果がなかったというのを避るために、ワクチンを打つ時期を考察してみた。
レプトスピラ感染症の発症が多い時期に合わせてワクチン接種
日本でレプトスピラ感染症の発症件数が多くなるのが6月初旬から10月なんだ。梅雨〜夏〜初秋(豪雨・増水後)に感染のリスクが上昇する。
この期間にワクチンの効果が持続される最初の6ヶ月がくるように逆算してワクチンを打てば年1回で感染リスクをしっかりと抑えることができるはず。
ワクチンは接種してからおおよそ2週間から3週間で予防効果がでる。なので5月初旬から5月中旬に11種混合ワクチンを摂取すればワクチンで得られる最大の予防ができるという事になる。
プラスでぜひ知っておいて欲しいのが、レプトスピラワクチンを初めて接種、もしくは1年以上期間を空けての接種の場合は、直近の最初の接種から1〜2週間程度の期間を空けて2回目を接種。2回目の接種から1〜2週間後で十分な予防効果が期待できることを覚えておいて欲しい。
5.身近な人から愛犬がレプトスピラ感染症にかかった話を聞いたことがないが、オレは用心する事に決めた!
年々、日本の気候は春と秋と冬が減ってきて、春・夏・夏・夏・秋・冬という感じになってきた。名古屋は、オレが子供の頃に比べると明らかに夏は暑く、冬は暖かくなった。
レプトスピラ感染症が多くみられる地域に環境が近づいてきている気がする。
コロナウイルスのパンデミックを経験した。あり得ないことは・・・ない。
オレと白柴と赤柴が暮らすこの町で、いつレプトスピラ感染症がアウトブレイク(特定の場所や集団で、予想を大きく上回る感染症の発生や、通常では見られない感染症の発生)しても不思議ではない気がしてきている。
白柴が元気で、オレの旅行やキャンプに付き合ってくれるうちは11種混合ワクチンを打っていきたいと思う。