結論:3点式ハーネス以外は抜ける
柴犬は「首輪抜け・ハーネス抜けの名人」と言われるほど、体型的に抜けやすい犬種なんだ。
胸と首だけを締めるタイプのハーネスや首輪では、後退りや踏ん張りの瞬間にスルッと抜けてしまう可能性がある。
唯一「抜けた話をほとんど聞かない」のが、首・胸・ウエストで固定する3点式ハーネス。
3点式はウエスト(肋骨の後ろ)でしっかり止める構造。
胸や首ではなく「胴」で支えるため、頭より細い部分を通り抜けられなくなる。
逃走事故を防ぎたいなら、まずはこれが前提。
ただ、3点式でも100%安全ではない。
この世に100%安全なものは存在しないという事はぜひ知っておいて欲しい。
我が家で使っている3点式ハーネスはモンベルが正規代理店のラフウエアのウェブマスターハーネス。
我が家の柴犬達で後退りしようが、踏ん張ろうが、寝っ転がろうが、どんなに引っ張っても抜けた事がない。
非常におすすめ。
柴犬が2点式(首と胸)のハーネスが抜ける理由
犬の構造は胸が一番太くて頭に向かって三角すいの様な形をしている。
犬が前方向に引っ張るときには絶対に外れないが、逆方向にはとんでもなく弱い構造なんだ。
- 胸の締め付けは役に立たない
→ 胸にベルトがあっても、後退りすると肩をすり抜けやすい。 - 首は毛と皮の多さがネック
→ 柴犬は野生の名残で「敵から首を守るクッション」と「動きをしなやかにするための余裕」のために首周りの皮が厚く、さらに毛も密なので、首輪が毛に浮いているだけの状態になりやすい。 - 首から頭の太さに差が少ない
→ 首輪をきつくしても頭が細いので抜けてしまう。
なんとかギリ抜けなさそうなところで止まった!と思っても犬は止まらない。
ハーネスが抜けかけたときに耳や首の辺りに不快感があると犬は体をよじり、ハーネスをなんとか取ろうとするんだ。
この「体型+構造」が重なって、柴犬は“抜け名人”と呼ばれているらしい。
犬が「後退り」したり「踏ん張ったり」する時はどんな時?
首輪やハーネスが抜けるのは犬が後退りしたり踏ん張った時。
こんな時の多くの場合「犬が強い気持ちを持った瞬間」が多いんだ。
怖いから「逃げたい」や「どうしても行きたいところがある」時。
恐怖刺激に対する典型的な反応なんだ。
- 怖い → 雷の音、工事音、花火、知らない犬や人
- 行きたい方向がある → 他の犬、気になるにおい、家に帰りたい
こう言った時は精神的に興奮状態にあるから、抜けた瞬間にダッシュ! という最悪の流れになりがちなんだ。
首輪・ハーネスが抜けた後に待っている事
首輪やハーネスが抜けた時、犬が興奮しているとダッシュして「あっ」という間に見失ってしまう。
自由に慣れていない犬は興奮のあまり普段しないような行動をとったりする事があるんだ。
首輪・ハーネス抜け後の実例
車道に飛び出す事故
- 散歩中、工事音に驚いて後ずさり → 首輪が抜けた。
- そのまま車道へダッシュし、自動車と接触。
- 幸い軽傷で済んだが、飼い主は「ほんの数秒の出来事だった」と証言。
ドッグラン入口で逃走 → 迷子
- 入り口で他の犬に吠えられ、ハーネスが緩んでいたせいで抜けた。
- 興奮したまま近くの林に走り込み、数日行方不明に。
- 発見された時は衰弱し、脱水症状を起こしていた。
他犬トラブル(咬傷事故)
- 散歩中に別の犬を見て興奮、強く引っ張った拍子にハーネスが抜ける。
- そのまま相手犬に飛びかかり噛みつき。
- 噛まれた犬は通院が必要になり、治療費や慰謝料トラブルに発展。
実例からわかること
- 抜けた直後は冷静ではなく、必ず強い行動に出る(パニックなら逃避、興奮なら突進)
- 事故・迷子・咬傷はどれも「飼い主が制御できない状況」で起こる
- “うちの子は大丈夫”が一番危険
柴犬の体格や力を考えると、抜けた後は飼い主が追いかけても簡単に捕まえられない。
本当に、お手上げ状態で、あとは運任せという状態になってしまうんだ。
鉄砲ナスカンはブルブルで外れることがある
リードの金具(ナスカン)も盲点です。
昔ながらの鉄砲ナスカンは犬がブルブルした衝撃で外れることがあるんだ。
実際、オレの実体験で過去に愛犬がブルブルして外れた事が2回あった。
信じられないが実際に経験するとゾッとする。
おれはこれ以来、ロック付きナスカン型やカラビナ型を使って、現在はラフウエアのクラッグEXリシューを使っている。
今の所一番安全性と使い勝手が両立しているリードだと思う。
特に危険なシチュエーション
犬は「慣れない環境」や「交通量の多い場所」で後退りや踏ん張りをする傾向があるんだ。
オレが実際に見てきたハーネスが抜ける瞬間は、
- いつもの散歩道で大きな音を出す車に驚いて後退り→抜けてダッシュ
- いつもの散歩道の公園で子供達が大きな音がなる花火に驚いて後退り→抜けてダッシュ
- 高速道路のサービスエリアで愛犬を散歩中に急に踏ん張る→抜けてトコトコ歩いて行った
こうした場面で首輪やハーネスが抜ければ、迷子や事故の危険性は一気に高まる。
だからこそ 日常的に“抜け対策”をしておくことが愛犬の命を守る事につながるんだ。
2点式ハーネス(首と胸の2点留め)+首輪のダブルリードでも安心はできない。
数を多く付ければ、それだけ一気に抜ける可能性は下がるんだけど、首輪が抜けるなら当然ハーネスも抜けるって言うのを理解しておいて欲しい。
オレ自身、先代犬でダブルリードで散歩していて両方一気に抜けた事があるから注意喚起しておきたいんだ。
と言うのも、ダブルリードを過信しすぎて首輪の調整が甘く抜けやすくなっていたり、愛犬が後退りをしていたり踏ん張っているときに、車にはねられそうになっている時なんかに力一杯引っ張っちゃうとあっさり抜けちゃった事があったんだ。
これは単に首輪やハーネスの締め方の問題ではなく、犬が後退りしたり踏ん張った瞬間に“摩擦の限界”を超えてしまうため。柴犬のように首と頭の太さに差が少ない犬種では、皮膚の余りや毛の厚みも加わって、首輪もハーネスも同時に抜けやすくなる構造的な弱点があるんだ。
- 首輪の調整をしっかりする事
- 抜ける可能性がある事
の2点を日々意識していかないと、抜かれる時は一瞬だと気を引き締めて欲しい。
最強は3点式ハーネス+首輪でダブルリード
保護犬には極度に怖がるタイプや逃走癖があるタイプの子が結構いる。そう言ったタイプの子を譲渡される際に「必ずダブルリード」でってことになると思う。
そう言った子をみると大抵の場合が3点式ハーネス+首輪のダブルリードだったりする。
それでも100%抜けないとは言えないけど、事実上これが最強の対策と言える。
たまに踏ん張ったり、ちょっと後退りするくらいの子なら3点式ハーネスで大丈夫だと思う。
ちなみになんだけど、リードやハーネスは消耗品なんだ。見た目が大丈夫そうでも繊維や金具は確実に劣化していく。
ナイロンは1〜2年、革は2〜3年を目安に交換し、ほつれや金具の緩みを感じたらすぐに新調した方がいい。
愛犬の命綱だからこそ“早めの交換”が大切。
余談だけど、ちょっと前、散歩のすれ違い時に大型犬がうちの赤柴に飛びかかろうとしてきた瞬間、大型犬のリードがちぎれて赤柴が襲われそうになった事があった。
(その時は「噛まれそうになった瞬間に砲丸投げのように赤柴を引っ張る」を繰り返していくつもの攻撃をかわし奇跡的に噛まれずに済んだ。)
愛犬を守るために、「抜けるのは当たり前」と考えて3点式ハーネス+安全対策を ぜひ取り入れて欲しい。