投資ブームと金利上昇の空気感
日経平均はバブル以来の高値を更新中。
世はまさに投資ブームの真っ只中。
そんな中、気になるのが日銀の政策金利だ。
金利が上がると住宅ローンに直撃 → 「繰上げ返済どうする?」
日銀が金利を動かすと、投資家は市場に注目、同時に住宅ローン組の財布にも直撃するって話。
オレも住宅ローンを組み始めて10年。そろそそろそろ返済の出口を意識する時期。
オレは独身の一人暮らしだけど柴犬2匹の飼い主としてこの家を守る義務がある。
そこで、金利上昇のダメージをできる限り回避する為に住宅ローンの繰上げ返済に関してあれやこれやと検索してみると、
- 繰上げ返済する資金があるなら投資で増やせ。
- 住宅ローンには団体信用保険があるから繰上げ返済はもったいない。
- 住宅ローンに疾病特約を付けたのなら尚更繰上げ返済などするな。
と、ネットや専門家の間では“繰上げ返済不要論”が目立っている。
本当に住宅ローンの繰上げ返済は損なのか?間に受けてオレは大丈夫なのか?
と疑問に思いオレなりに考察してみたので、オレと同様に住宅ローンの繰上げ返済で悩んでいる人は参考して欲しい。
【結論】住宅ローンの繰上げ返済はやるべき。ただし“計画的に”
「借金は早く返したほうがいい」って言うのがオレが子供の頃から教わってきた借金に対する哲学なんだ。
色々調べて考察してみた結果、借金は早く返したほうがいいは本当だったと言う結論に至った。
住宅ローンの繰上げ返済をして確実に支払い利息の総額を減らすことが最優先。
- 団体信用生命保険や疾病特約は住宅ローンの返済が不能になった時のいざって言う時のもの。
多くの人はこの恩恵に預かる事はできないと思っておいた方がいい。 - 住宅ローン金利よりも高い利回りで投資をした方がいいと言うのも半分本当で半分嘘。
の2点をしっかりと理解する必要がある。
理由①団体信用生命や疾病特約をあてにしないほうがいい理由
公的な統計は少なくて目安レベルだけど、銀行や保険会社の資料・調査からすると住宅ローン利用者のうち1〜3%程度が団信によって返済免除になっている と言われているんだ。ガン特約付きの「ガン団信」や「三大疾病団信」をつけている人だと、もう少し高くなる(3〜5%くらい)。つまり 100人に1〜5人くらいが、実際に「団信」や「三大疾病団信」で救われる計算になる。
主なケース
死亡(基本の団信)
- これは一番多いケース。ローン契約者が死亡した時点で残債ゼロが主流。
- 家族がそのまま家を相続できるので「団信が生命保険代わり」と言われる。
がん特約(がん診断でローン完済)
- メガバンク系だとガン診断確定=残債ゼロが主流。
- 日本人の2人に1人は一生のうちにがんにかかるので、発動事例はかなり多い。
三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)
- 一定の要件(治療継続、労働制限など)を満たすと適用。
- 条件が厳しいため、死亡やがん特約に比べると発動率は低い。
発動しないで終わる人も多い
- 団信は「確率的に3〜5%の人にしか恩恵がない」とも言える。
- ただし、その“少数派”に当たった時のインパクト(数百万〜数千万のローン免除)は超大きいから、多くの人が保険として加入している。
まとめると、団信や疾病特約が“ヒット”するのは100人に数人レベル。でも当たれば一撃でローン完済。
だから「滅多に使わないけど、使えたらデカい保険」ってイメージが一番近い。
ちなみに、これは日本の準富裕層の割合と近い。
- 富裕層(1億円以上) → 約 1.5%(100人に1〜2人)
- 準富裕層(5000万〜1億円) → 約 6%(100人に6人)
- 超富裕層(5億円以上) → 0.1%未満(1000人に1人レベル)
団信や疾病特約は「人生の宝くじ」みたいなもの。
当たれば家計は救われるけど、確率は準富裕層になれるのと同じくらいレア。
だからこそ「当てにせず、外れ前提」でローン設計するのが正解。
理由② 投資利回りは常にローン金利を上回るわけではない
最近の投資系YouTubeやネット記事を見ていると、
「経済は必ず右肩上がり!投資しないやつは負け組!」みたいな極端な主張がやたら目につく。
確かに長期的には世界経済は成長してきた。
ただ歴史を見れば、成長は「一直線の右肩上がり」じゃなくて、
必ず波(=成長→後退→回復)を伴っているというのが現実なんだ。
2000年以降の大きな下落局面
- 2000〜2002年 ITバブル崩壊+米同時多発テロ
日経平均は 19,539円 → 8,578円(約▲56%) - 2008年 リーマンショック
世界同時不況で日経は 7,054円台まで下落(バブル後最安値水準) - 2011年 東日本大震災
一日で▲10.5%(8,605円)まで急落 - 2020年 コロナショック
世界市場と同時に急落、一時は1日で▲20%近い下げ幅を記録 - 2024年8月 暴落(為替・景気混乱)
一日で▲12.4%の下落。1987年ブラックマンデー以来の歴史的暴落
さらに日本の場合は、1989年のバブルピークから2021年まで
**約32年間も最高値を更新できなかった「失われた30年」**という長期低迷期まで経験している。
ここから言えること
経済は長期で見れば成長する。
でもその間に「数年〜数十年単位の停滞や暴落」が何度も起きている。
そして大事なのは、株価がどれだけ暴落しても住宅ローンの返済は毎月止まらないという現実。
つまり、「投資すればローン金利より高い利回りが出せる」という理屈は 相場が順調に成長している時だけの話 であって、
暴落や長期低迷期に入れば一気に崩れてしまうんだ。
だからオレは、繰上げ返済資金を投資に“全振り”するのはリスクが大きすぎると判断している。
結局、借金は返すが正義 取らぬ狸の皮算用にならないことが大切
住宅ローンの設計上、きっちり確実に借りたものと利息を耳揃えて返す事が絶対条件なんだ。
どんな事をしても返せばOKの世界。もし返せなかった時は最悪の状況になってしまう世界。
返済が滞れは家は銀行様に競売にかけられ、それでも住宅ローンが相殺できなかった場合は無担保の借金だけが残る。
投資はいつだって取らぬ狸の皮算用だと思っていないといけない。
オレの昔話なんだけど、
オレの父はバブルが崩壊する直前に土地を売って現金化した。
その直後に地価は1/3に。父は「俺はラッキーだった」と笑っていたけど、あれは偶然というよりも運の強さだと思う。
一方で、多くの人は土地神話を信じて持ち続け、資産を大きく減らした。
そんな父を見て育ったオレは「借金は早く返す」「資産は幻に過ぎない」とどこかで思っている。
これは今の“投資ブーム”にも通じる教訓で、ブームの熱気に惑わされるよりも、確実に借金を減らすことが最も堅実な資産形成だとオレは考えている。