世界では今も猛威を振るっている狂犬病
今でも狂犬病は人類にとって、とても脅威なんだ。
世界では狂犬病によって年間約6万人もの人が死亡している。
この狂犬病ウイルスは、全ての哺乳類に感染する事ができるんだ。
この狂犬病に感染して狂犬病を発症すると「ほぼ100%」死ぬ。非常に恐ろしい病気。
この危険な狂犬病ウイルスの人への感染経路は99%が「犬」から。
世界の野犬が多い地域では狂犬病のリスクが高く、犬に狂犬病予防注射を打つ事ができないから、人間に狂犬病ワクチンを打って予防している。
これが意味するのは、狂犬病ウイルスの脅威の中で生活をしなければいけない環境が世界には普通に存在しているって事。
何で今でも狂犬病が世界で猛威をふるっているのかっていうと、経済的貧困・医療体制の未整備・啓発不足(狂犬病を知らないから野生動物に噛まれても病院に行かない)・野犬問題が解決できず、これらが組み合わさって、犬への狂犬病ワクチンを全体の70%以上に打つ事ができず集団免疫(公衆免疫)が形成されず、感染サイクルが今も止められない状況なんだ。
狂犬病の仕組み
日本にいる限りは狂犬病のリスクに晒される事は無いと思うけど、愛犬家の一般常識として知っておきたい内容。
とにかく知っておいて欲しいのは、狂犬病の動物に噛まれてもすぐに治療をすれば、ほぼ100%助かるって事。
発症してしまったらほぼ100%死んじゃうって事。を絶対に覚えておいて欲しい。
① 感染の入り口
- 主に「噛まれた傷口」から侵入。
- ウイルスは唾液にたくさん含まれていて、皮膚を破って筋肉や神経の近くに入り込む。
② 神経を通って移動(ここがポイント)
- 末梢神経の軸索(神経のケーブル部分)に取りついて、逆流するように脳へ進む。
噛まれた場所の近くの神経から脳に到達するまでの期間が狂犬病ウイルスの潜伏期間。
だから、噛まれた場所が頭に近いと、潜伏期間が短くなり危険度が増す。速攻病院へ行かないと助からない事も。
この期間に暴露後(狂犬病の犬に噛まれた後)ワクチンを打たずに放置して狂犬病が発症すると、ほぼ100%死ぬ事になる。
足や手 → 数週間〜数か月の潜伏期
首や顔 → 数日〜数週間で発症する危険があるこのスピードは1日に数mm〜数cm。暴露後ワクチンと狂犬病免疫グロブリンを併用して治療。
③ 脳に到達して大暴れ
- 脳に着くと、神経細胞の中でどんどん増える。
- その結果、脳炎(神経の暴走)が起きて、異常行動や恐水症(水を飲めない症状)、麻痺などが出る。
- 発症=ほぼ死ぬ。治療法はない。
④ 唾液腺へ移動
- ウイルスはさらに神経を通って 唾液腺へ移動。
- そこで大量に増えて、再び「噛むことで次の宿主に感染」する仕組み。
つまりウイルス自身が「噛ませて広がる」ように進化している。
⑤ 免疫が効かない理由
- 神経の中に潜り込むので、血液中にいる抗体や免疫細胞が届きにくい。
- 脳の中には有効な薬を届ける事ができないため、発症した後はワクチンや抗体療法も効かなくなる。
- 唯一の防御は 発症前にワクチンを打つこと(暴露後ワクチン)。
日本は清浄国(70年以上例なし、法律の効果)
かつては日本でも狂犬病は普通に存在していた病気だったんだ。
それが現在では狂犬病清浄国として過去70年以上もの間、狂犬病が発症していない国となった。
日本が狂犬病の無い国になれたのは、狂犬病予防法(1950年施行)のおかげと言って間違いない。
狂犬病を蔓延させないためには・犬の予防接種の徹底(集団免疫率70%以上)・野犬管理・動物輸入の検疫・咬傷後の人へのワクチン体制・長期的な国の政策と法律が必須なんだ。
台湾が危険国に戻った事例で油断禁物
台湾は1959年に犬由来の狂犬病を撲滅したんだけど、2013年に野生動物(イタチアナグマ主体)から再び狂犬病が確認された。
その後、人や家庭用ペットには拡大していない。とはいえ、狂犬病が無くなったわけではなく、イタチアナグマ が 同種間で噛み合うことによって狂犬病ウイルスが維持されている状況は続いているんだ。
日本も他人事では無いんだ。いつ、日本に狂犬病が持ち込まれて、野生の生態系の中に根付いてしまうかわからない。
そうならない為に、愛犬家の我々ができるのは愛犬の狂犬病予防注射なんだ。
人用ワクチン(暴露前・暴露後)と費用の目安
狂犬病が発症している地域へ海外旅行をする人は絶対に人用ワクチンを打つことを検討して欲しい。
狂犬病予防は暴露前ワクチンを打って、噛まれた際に暴露後ワクチンを打つ二段階構えなんだ。
だから暴露前ワクチンだけ打ってれば大丈夫なんて絶対に思わないで欲しい。
オレの金銭感覚ではめちゃくちゃ高〜い!という感想。狂犬病免疫グロブリンはクソ高い。
暴露前ワクチンを打っておけば、このクソ高い狂犬病免疫グロブリンを打たなくても良いので、オレなら暴露前ワクチンを打っておくな。
① 暴露前ワクチン(予防接種)
- 狂犬病が流行している国に行く人向け。
- 通常は 3回接種(0日目・1週間後・1か月後)で免疫をつける。
- その後も数年おきに追加接種(ブースター)が必要。
- 日本では任意接種で、費用は 1回1〜2万円くらい。全額自己負担。3回合計で3〜6万円くらい。
② 暴露後ワクチン(噛まれた後に打つ)
- 狂犬病が疑われる犬・コウモリ・キツネなどに噛まれた場合、発症前に速攻で打つ。
- 通常は 5回接種(0・3・7・14・30日目)。
- さらに重症例(顔・首など噛まれた)では、狂犬病免疫グロブリンも一緒に投与する。
- これを「暴露後免疫」といって、これを打てば ほぼ100%助かる。
- 日本で暴露後ワクチン5回の費用が10~20万円。狂犬病免疫グロブリンの費用が30〜60万円。
※狂犬病の野生動物に噛まれる前に打つ暴露前ワクチンを打っていたとしても、噛まれてしまったら必ず病院へ行き2回は暴露後ワクチンを打ってもらうこと。
自分は狂犬病ワクチンを打っているから大丈夫と思ってはいけないんだ。
愛犬の1回3,000円の注射が日本を守る
オレは今まで、狂犬病ワクチンの副反応リスクを考えると、3年で1回でいいんじゃ無いのかな?と思っていた。
でも、万が一狂犬病が発症してしまった場合、海外からの日本の評価の失墜や人が死んでしまった時の事を考えると、毎年接種は妥当な気がしてきた。
70年以上狂犬病が発症していないという事は、70歳くらいの人にとっては狂犬病は知らない国の病気って感じだと思う。おれは実際にそうだった。
でも、日本は今も狂犬病清浄国として、狂犬病を日本で発症させない戦いをしている最中なんだ。
人類はまだ狂犬病の脅威と戦っている最中だからこそ、愛犬家達の理解と協力がなくてはいけないのがよくわかった。
愛犬家が毎年愛犬に打つ1回3,000円の狂犬病予防注射が日本を狂犬病の脅威から守っている。